HOME > 花の資格コラム目次 > 花の資格・免状関連のトラブル

花の資格・免状関連のトラブル

花の資格・免状関連のトラブル

長年花の業界にいると、時々「資格・免状関連のトラブル」が聞こえてくることがあります。
これは、めったにあるものではありません。管理人はリアル知人からこの類の相談を受けたことはありません。が、噂話で聞こえてきたり、花の集まりで初対面の相手(名前も門下も知らない、偶然隣りに座ったような人です)から「こんなトラブルがあった」とこぼされたり、このサイトの問い合わせフォームから相談を受けたことは何度かあります。

私の見るところ、基本的には、トラブルにまで発展するのは主に先生の側に原因があります。まれに、生徒さんの側にも確認不足などの要因がある、と感じられることがあります。

資格・免状関連のトラブルは、金銭も絡むので(場合によっては高額の金銭になります)、こじれると双方にとって良いことは何もありません。

もしも、資格取得の際に、「これはおかしいのではないか」と思うことがあったときに参考にしてください。

取れるはずの資格・免状を取ってもらえない

自分は資格申請の条件を絶対に満たしている、それなのになぜか先生が資格の話をしてくれない、なぜだろう……というときに、考えられる状況を挙げてみます。

可能性の少ないほうから、つまり「生徒さん側に要因がある」場合からあげます。

  • 実は、条件をまだ満たしていない……ただの勘違いです。たまにあります
  • 先生が資格を出すのをためらうような振る舞いが過去にあった……資格申請する先生は、資格を発行する組織(スクールや流派)に一定の責任を負い、あまりおかしな人に資格を出すと、「申請したのは誰だ」と言われることになります。その責任を負えない、と思ったら、申請に躊躇するでしょう。ただ、ちょっとやそっとの「ふるまい」ではこうはなりません。よほどの無責任行動や、迷惑行動があった場合だけです

続いて、先生の側に要因がある場合を挙げます。

  • 資格が要らない人だと思い込んでいる……資格取得は、数千円から上のお金がかかるので、みだりに誰にでも勧めない方針の先生がいます。このケースだと思ったら、「自分は資格を取りたい気持ちがある」とアピールしてください
  • 実は、免状申請ができない……もとからできないのに、「資格取得可」とうそをついて集客していたか、何らかの理由で資格申請の権利を失っていて、それを生徒さんに言いたくないがために資格の話をしないではぐらかしている

資格申請からだいぶ日数がたったのに、何の音さたもない

(ここでいう「資格申請」は、しかるべき書類等の提出が済み、申請料も払い込み済み、と考えてください)
これは、生徒さん側に要因があることはありません。先生か、母体組織に要因があるとしか考えられません。

  • 母体組織の手続きに時間がかかっている……手続きに、思いのほか時間がかかることはあり得ます。一週間くらいで来るとは思わない方が良いです。営利組織ではないと、数か月とか、半年くらいは平気で待たされると思ってください
  • 先生が、申請していない その1……組織の本部に行くときに手続きすればいいと思っていて、その機会が数か月来ない……などです。仕事ではなく趣味の意識でやっている先生だと、結構のんびりした人もいます
  • 先生が、申請していない その2……たった一件の申請をするのが面倒なので、数人分まとめようと思っているうちに数か月たった、などです。上の文を参照ください
  • 郵便事故など、申請書類がどこかで無くなってしまった……これはさすがに先生が「あの申請はどうなった?」と気が付くべきと思いますが、申請慣れしていない先生だと、「時間がかかるものなんだな」と思って放置することもあるかもしれません
  • (これが最悪のケースです)もともと先生に申請する気持ちが無い……申請せずに、申請料を自分のものにしてしまっています。一種の詐欺です。「免状はいつ来るのでしょう」と聞いてみても、のらりくらりと理由をつけて、いつまでも待たせ続けます。多分、あきらめるのを待っているのではないでしょうか

「申請が受付られなかった」と言われる

もし、「受け付けられなかったので、少し時間がかかります」と言われたなら、理由を聞いてみましょう。

「受け付けられない理由」として、私にあり得ると思われるのは、書類の不備か、申請の受付期間が決まっているのにそれをのがしてしまった場合くらいしかありません。

前者であれば、書類の出し直しをすれば済むので、それほど待たされることがあるとは考えにくいです。そして、どれくらい待つのか、聞く権利があると思います。
後者であれば、次の申請受付期間はいつから始まるのか、説明してもらってしかるべきです。一月後くらいならともかく、一年待てということにでもなったら、先生は「お金を払ってもらったのに、期間に遅れてしまったこと、一年も待ってもらわねばならないこと」を、聞かれなくても言う責任があると思います。

おかしいと思ったら、とりあえずネットで情報を探してみよう

もしも、自分の資格申請のことで、「これは、おかしいのではないか」と思ったら、とりあえずネットで検索してみましょう。
昔は、先生に「こういうものだ」と言われたら、それをうのみにするしかなかった時代もあったのでしょうが、今は「よそはどうしているのか」「同じ資格申請した人の体験談が無いか」など、簡単に情報を探せます。

それがわかっているからか、資格・免状関連のトラブルは、昭和のころに比べると聞かなくなりました。これから、ますます減っていくでしょう。

ごまかしを見抜く術

資格・免状関係のトラブルの話を聞くとき(主に、いつまで待っても資格が発行されない、という話で)、非常によく聞くのが、

「この理由で、もう少し待ってくださいと言われる」→「そろそろ解決したかと思って聞いてみると、本部に聞いてくると言われる」→「本部からなかなか回答が来ない」→「何か月もたってから、別の理由で時間がかかっていると言われる」→「待ちくたびれるほど待ってまた聞くと、また本部に聞いてくると言われる」→「本部からの解答が全然来ない」→「やっと本部から回答が来たと言われ、今度こそと思うと、また全然違う理由を言われてもう少し待ってくださいと言われる」

↑これの繰り返し、というパターンです。
しかも、聞いた側に、
「本当なのだろうか」
「そんなことがあるんだろうか」
「なぜ本部はすぐに答えてくれないんだ」
と思わせる内容ながら、素人には「ウソだ」と断定しにくい理由を並べる、というものです。

私なら(私も資格申請のできるいけばな師範です)、お弟子さんの免状申請がどこかで足踏みしていると知ったら、
「なぜですか?」
と流の本部に聞きに行きます。そして、すぐに解答を持ち帰ります。それが普通なのです。

花関連の民間資格の場合、発行している母体組織は、資格を基本的に「どんどん出していきたい」のです。合格人数が決まっている入試のようなものではないので、細かいことを言ってなかなか資格を取らせない、ということは、母体組織の本来の姿勢と合致しません。
先生も、母体組織も、どちらにも自分の資格を出す気があるのだろうか、と思うことがあったら、それは少しおかしいことだと思ってください。少なくとも、どちらかが「さあスムーズに申請を進めよう」という態度を見せなかったら、それはかなり不思議な状況です。

資格取得の際にかかる金額の内訳を確認しよう

資格取得の際にかかる金額が、「申請料」だけなら分かりやすくて良いのですが、いくつかの金額の合算になっていたら、面倒でもその内訳は確認しましょう。これは、トラブルの有無に関係なく、本人の責任として見るべきです。

申請料のほかにかかる金額として考えられるのは、例えば、

  • 母体組織への会員登録料
  • 〇〇会(有資格者で構成される集まりなど)の年会費
  • 事務手数料
  • グッズ料金

などです。不明な金額が含まれていたら、「これは何でしょう?」と聞いてみましょう。
上の例の中で言うと、「〇〇会年会費ってなんだろう」と思ったら、面倒がらずに聞きましょう。その答えが、「有資格者は全員入会です。資格申請時の書類に明記してあります」であれば、事前に了解していなかった自分が悪いです。しかし、「入会は任意です」であれば、入会するかしないか考えもせずに払うべきではありません。

また、上の例でいうと、一番分かり難いのが「グッズ料金」だと思いますが、これは、資格取得とともに、専用の道具や特別な書籍などを買うことになっている場合があり、そのための料金です。資格取得者は全員買うことになっているものは、事前に必ずどこかで説明されているはずですので問題になることは無いのですが、決まりではないけど「慣習」で買うことになっている、というケースが、トラブルを生むことがあります。
このようなことは、新しい組織にはあまりなく、古くからある組織、つまりいけばなの世界でよく聞きました(過去の話と信じたいです)。数十年前は、本当によく聞いた話で、最近はめっきり聞かなくなっていますので、このまま無くなれば良いと思います。

具体的にいうと、もっともよく聞いた話は、「指導可免状の申請とともに、看板を買わされる」というものです。
指導者は看板を持たなければならない、という決まりのある流派であれば(そんな流派があるのかどうか知りませんが)、最初から「看板の代金が別途かかります」と謳っているはずなので、だれでも納得して買うのだから問題はありません。

問題なのは、買うかどうかを本当は選べるのに、「当然買いますよね?」と、本人の選択権を無視して買わせるやり方です。
この看板が、安ければまだいいのですが、だいたい数万円はかかるのです。

買うものと決めつけられるのはおかしい、と感じたら、「買わないといけないんですか?」と聞きましょう。そのときに、
「決まりではありませんが、皆さんお買いになりますよ」
と言われたとしても、本当に要らなければ断りましょう。
これを、昔は断れない人が多かったのです。でも、今の時代は断れます! 要りもしない数万円の看板を、なんとなく流されて買うのはおかしい、と思ってください。


ページトップに戻る