HOME > コラム > ハーバリウム教室では何が学べる?

ハーバリウム教室では何が学べる?

ハーバリウム教室では何が学べる?

フラワーの世界で言う「ハーバリウム」は、ドライフラワー類(プリザーブドフラワーも)をオイルとともに容器に密封し、長く保存できる飾り物に仕立てたものです。手軽さと華やかさと、画像にして「映える」要素を持っていたため、sns時代になってから、急激に人気が出ました。
世にハーバリウム教室が増えたのは、2017年以降です。つまり、まだまだハーバリウム教室は歴史が浅く、その実態が世間によく知られているとは言い難いのが現状です。

ハーバリウム教室の魅力・特徴

以下に、ハーバリウム教室の魅力・特徴を挙げてみます。

誰でも気軽にトライできる

習い事としてのハーバリウムの魅力は、なんといっても入り口のハードルが低く、気軽に経験できることです。
ハーバリウムを作る作業は、簡単に言ってしまえば「容器に花材とオイルを入れるだけ」です。デザインのセンスや、作業の細やかさにより、上手い人とそうでない人の差はやはりあるのですが、かなり不器用な人にとっても、手も足も出ないような作業ではありません。どんな人でも、最低限の格好はつくのです。
そのため、誰にでも、
「私にもできそう」
と思え、気軽にトライすることができます。

資格取得が早くできる

ハーバリウムは、いけばなやフラワーアレンジメントと比べると、圧倒的な短期間で資格が取れます。早いものは、一日でも取得可能なものがあります。

ただし、ハーバリウムの資格は、少なくとも今のところは、資格としてのパワーはいけばな・フラワーアレンジメントに遠く及びません。これから先はどうなるか分かりませんが、現状では仕事につながる可能性が低く、楽しみの延長の範囲の資格と言えます

単発講座が多い

ハーバリウムは単発講座が多く、正確にカウントしたら継続的に教室に通っている人よりも、一回限りの楽しみとして体験している人の方が多いのではないかと思えるほどです。
上にも書いたように、資格取得さえも一日でできる講座があるくらいですので、そもそも創作として、色々なものを一回で完結させ得る要素を持っているのです。

この、単発でも人を満足させる力は、ハーバリウムの長所と言えます。創作の中には、時間と経験を重ねて徐々にうまくなっていく楽しみを味わいたい人でないと入り口を入り難いものもあるものです。それに対してハーバリウムは、「じっくりいろいろ重ねるタイプ」も「一回でおよその体験を完結したいタイプ」も、両方拒まないのです。

ほぼ手ぶらで通える

多くのハーバリウム教室は、手ぶらで通うことができます。
ハーバリウムで使う道具は、鋏とピンセットでほぼ事足り、「自分用の道具を持参しても、教室の道具を使っても、どちらでも良し」としているところが多いです。(自前の道具を持っていく場合も、鋏とピンセットだけならそれほど面倒ではありません)

そのままギフトにできる

ハーバリウム教室では、作り上げたハーバリウム作品を、ラッピングしてそのままギフト仕様にして持ち帰れるようにしてくれるところがあります。また、教室に特にそのようなサービスが無くても、自分でギフトバッグにでも入れればすぐにギフトにできます。

ハーバリウムは生花と違い、作れば作っただけ、作品が家にどんどんたまっていきます。物を贈ることを楽しむタイプの人なら、毎回ギフトを制作するつもりで臨むのも良いでしょう。

ハーバリウム以外の制作もできる教室が多い

ハーバリウム教室は、ほかのジャンルの創作も教えていることが非常に多いです。ハーバリウムに限らず、花の教室では「フラワーアレンジとプリザーブドフラワー」など、複数の講座を開講しているところが多いのですが、ハーバリウム教室は特にその傾向が顕著です。

ハーバリウム教室と一緒に開講されているものは、下記のようなジャンルが多いです。

  • プリザーブドフラワー
  • ドライフラワーアレンジ
  • フラワーアレンジメント
  • いけばな
  • 手作りキャンドル・アロマキャンドル・アロマワックスバー・ジェルキャンドル
  • 押し花
  • ナチュラルテイストの手芸など

ハーバリウムの作成手順

ハーバリウムの基本的な作り方は、以下のようになります。

容器を選ぶ → 花材を選ぶ → デザインを考える → 花材をピンセットなどで容器の中にセットする → オイルを入れる

教室により、容器・花材・デザインとも、決められたものをあてがわれるところもあります。
同じ容器・花材を使っても、花材のカットの仕方や入れる順番で、出来上がりはかなり変わります(出来上がりに作者の性格が浮き彫りになったりします)。

ハーバリウムは、容器の中に花材だけをセットしているときと、オイルを入れた後では、作品の顔が変わります。それは、主に花材が浮いてくるためで、オイル注入前は満足そうだった人が、注入後は「しまった」という様子になることは、ハーバリウム講座の「あるある」です。この「しまった」のためにもう一回来ようと思う人が、長くハーバリウム教室に通う人なのでしょう。

ハーバリウムの作成時間

ハーバリウムは、大体1時間足らずでできます。決断が早く手も早い人だと、完全な素人でも20分くらいで作れる人もいます。

ハーバリウムの道具立て

ハーバリウムを作るときに必要なものを下に挙げてみます。
(★がついているものは、確実に教室で用意されているものです)

  • ★ハーバリウムオイル
  • ★容器(ガラスボトル)
  • ★花材
  • ピンセット

上の項にも書いたように、すべてが用意されていて手ぶらで行ける教室もかなりあります。反対に、道具や容器、花材を持ち込みたい人には持ち込みを許可しているところもあります。(要するに、他ジャンルと比べると対応が相当柔軟です)

どんな人がハーバリウムに向いているか

ハーバリウム制作は、花が好きな人でないと楽しめないものではありません。実際にハーバリウム教室に行くと、フラワーアレンジメントやプリザーブドフラワーの経験者が多いのですが、花に限らず「机の上でできる小さな工作系」が得意な人が向いています。もちろん、花材への興味は無いよりもあった方が良いですが、花の名前などに詳しい必要は全くありません。

ハーバリウムには、作業が丁寧で、少しの手間やアイデアがすぐに作品の見た目に反映されることを楽しみ、喜べる人が向いています。繊細な仕上がりの作品など見て「器用でないと無理」と感じる人がいるようですが、器用さは決して必須ではありません。不器用なら不器用なりに手を付けられるのが、ハーバリウムの魅力です。

ハーバリウム教室で教えてもらえること

ハーバリウム教室で教えてもらえることは、

基本的なハーバリウムの作り方、いろいろなデザイン・デザイン上のコツ、花材のカットの仕方、花材が浮かないセットのコツ、ごちゃつかない花材のセット方法、などです。

ともすれば単調になりがちなハーバリウム作りを、飽きさせないように工夫したメニューで学ばせてくれるのが良い先生です。
また、上にも書きましたが、ハーバリウム以外のジャンルも教えている教室が多いので、ほかの創作もまじえながら教えてもらえるところもあります。

受講前に確認しておくべきことは?

受講前に、以下のような点を確認してみましょう。

資格が欲しい人は、「資格が取れるのかどうか」を要確認

ハーバリウム教室は、特に資格を出していないところが珍しくありません。ほんの数年前から資格がいくつかでき始めたようなジャンルですので、当然のことです。資格など取らなくても制作は楽しめますが、どうしても資格が欲しい人、資格のために習いたい人は、必ず「資格を取れる教室かどうか」を確認しましょう。

単発講座を受けるなら「何を作るのか」を要確認

単発講座を受けるなら、どんなものを作る講座なのか確認する方が安全です。
「ハーバリウムが体験できるなら何でもよい」
という人ならノーチェックでも良いのですが、それなりに好みがある場合、
「これを作るとわかっていたら受けなかった」
ということがあり得ます。

ハーバリウムというと、「ガラス瓶の中にお花を入れて作るもの」というイメージの人が多いのですが、必ずしもガラス瓶で作るとは限りません。
例えば、ハーバリウムボールペン、ハーバリウムペンダント、ハーバリウムキーホルダーなどを作る講座もあるのです。ペンダントなら作りたくない、という人がハーバリウムペンダントの講座を受けてもがっかりすることになります。

それでも、長く通う教室ならば、好きでないテーマも「これも良い練習」と思えるでしょうが、たった一回だけ受ける講座では、「あまり欲しくない……」と思うものを作っても、時間もお金ももったいないです。自分がぜひ作りたいと思うものを作れる講座を選びましょう。

きちんとした考えのハーバリウム教室を見抜く方法

きちんとした考えを持っているハーバリウム教室は、安易に

「永遠に飾れる」
「半永久的に飾れる」

などという表現はしません。
ハーバリウムは、生花のように枯れはしませんが、物質として経年劣化から逃れることはできず、いつかはその美しさの命とも言える「色」が悪くなります。ハーバリウムの色は、早ければ(置く環境に左右されます)数か月で褪めてしまうこともあります。置く場所を選んで大事にすれば、数年美しさを保てますが、本当に美しいのは作ってせいぜい1年ほどです。これをわかっていて、
「いつまででもきれいなまま飾れます」
と言っているような教室は、誠意が疑わしいです。

また、ハーバリウムはいつかは処分するものだという事実をしっかりとらえている教室は、捨てることをしっかり考えている教室でもあるはずです。そのような教室は、使用するオイルの種類と、なぜそのオイルを選んでいるのかを、素人にちゃんと説明してくれます。(なぜなら、オイルによって処分方法が異なるからです)

上記のようなことをきちんと明らかにしている教室は、信用がおけます。

ハーバリウムの資格

今のところ、ハーバリウムの資格は少ないです。そして、何度も書きますが、ほとんどの人にとっては趣味の範囲の資格であり、ハーバリウムの資格を持っていることは、「手に職がある」とは言いにくいです。
しかし考え方によっては、
「気楽に取ることができる楽しい資格」とも、
「本気でビジネスにするなら、まだライバルが少ない市場の資格」とも言えます。資格取得が自分にとってプラスになると思える方には、今のうちが取り時かもしれません。

ハーバリウムには発展の余地がある

最近になって人気に火が付いたハーバリウムは、これから発展する余地が大きいです。
新たな素材や、技術、市場が開拓されれば、プリザーブドフラワーを追い抜く勢いを持つかもしれません。

もともと、ハーバリウムは構造自体は単純です。これを「発展のしようがない」ととらえる人もいますが、思いもよらないものが現在のハーバリウムに持ち込まれれば、大化けする可能性は十分にあります。
現に、ジェルハーバリウムや、クリスタルアートリウムなど、今までなかった「ハーバリウムの親戚」とも言うべき創作が誕生しています。習う人間にとっては、さらなる楽しみが増える未来が期待できるのではないでしょうか。


ページトップに戻る