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学芸員

学芸員:花の資格とは言いにくいけど……でも花に関わることもある資格

学芸員とは、博物館法で定められた国家資格です。一般的なイメージは、博物館や美術館で、「専門的な解説をしたり、質問に答えてくれる人」といったところでしょうか。
一見、花とあまりつながらないかもしれませんが、学芸員の中には、植物系を専門としている人もいます。

学芸員とは

学芸員(キュレーターとも言います)とは、博物館法で定められた、博物館(美術館・天文台・科学館・動物園・水族館・植物園なども含む)における専門的職員に就くための国家資格で、一度取れば無期限に有効です。
深い専門分野に精通している人のイメージや、知的興味への道を示してくれる優しく優秀な人のイメージが強く、人気のある資格と言えます。しかし、学芸員の資格を取ることはできても、仕事にするのはかなり狭き門を通らねばならず、資格は持っていても仕事にはしていない人の方が圧倒的に多いです。もし、学芸員として報酬を得て生業にしようと思うなら、その道の専門家として生きる覚悟が必要になるでしょう。

植物系の学芸員とは

学芸員にも様々な分野があり、一般的にすぐにイメージされるのは、美術系・歴史系が多いようですが、「自然系」もあります。自然系は、主に動植物系であり、植物の分野の専門知識がある学芸員が、植物系学芸員です。

植物系の学芸員は、どこで働ける?

植物系の学芸員の代表的な職場=就職先を挙げてみます。

  • 博物館
  • 植物園
  • 植物関連、または自然観察系の資料館
  • 植物関連、または自然観察系のレジャー施設
  • 自然公園
  • 美術館
  • 自治体

↑これらは、「学芸員として採用」が考えられる職場です。
「学芸員として」ではないけれども、「学芸員の資格持ちの経歴を買って」であれば、下のような就職先も、あるいはもっと広範囲の就職先も考えられます。

  • 植物系の得意な出版社
  • 植物に関連のあるNPO団体
  • 教育関連
  • 観光関連
  • 植物関連の文化事業にかかわる会社や団体
  • 植物園や、植物関連の博物館・美術館と取引のある会社

学芸員になる方法

学芸員の資格は、下記のいずれかの方法で得ることができます。

  1. 学士の学位を有し,大学で文部科学省令の定める博物館に関する科目の単位を修得したもの
  2. 短期大学で博物館に関する科目の単位を含めて62単位以上を修得し3年以上学芸員補の職にあったもの
  3. 学芸員資格認定試験に合格したもの
  4. 審査認定で、学力及び経験が、学芸員の有資格者と同等と認められたもの

上記の4つの方法について、下の項から紹介します。

【参考】学芸員

学芸員になる方法1:大学・短大で学芸員の資格を得る

現在、これが最もメジャーな方法と言えます。

大学で、博物館に関する科目の単位(博物館法により、科目や単位数が変動することがあります)を履修し、学士の単位を取って卒業すれば、自動的に学芸員を名乗れます。この取り方をすると、学芸員であることの証明書は特になく、就職などのために「学芸員の資格有り」であることを明らかにするためには、大学の卒業を証明する書類と、単位の取得を証明する書類を提出することで可能になります。
規定上、「学士で卒業」でも学芸員にはなれますが、学芸員としてしかるべき場所に採用されるためには、修士以上が必要と思っておく方がよいです。

【参考】
学芸員
学芸員<国>

短大で学芸員の資格を得るには、博物館に関する科目の単位を含めて62単位以上を取得し、3年以上学芸員補をつとめることが必要になります。この場合も、学芸員の資格有りを証明するためには、大学に二年以上在学し、定められた科目を62単位以上取得した証明書と、3年以上学芸員補の職にあったことを証明する書類の提出で可能になります。
これも規定上、短大卒でも学芸員資格は取れますが、4大卒でも就職が厳しい以上、短大卒ではもっと厳しいと思ってください。学芸員の募集(これ自体少ないのですが)の応募条件には、「4大卒以上」とあることの方が多いです。


大学生のための博物館学芸員入門[本/雑誌] / 真家和生/編著 小川義和/編著 熊野正也/編著 吉田優/編著

学芸員になる方法2:学芸員資格認定試験に合格する

資格認定試験を受け、筆記試験合格証書を得た者が、その後一年間、学芸員補として実務を経験し、文部科学大臣の認定を受けて合格証書を授与され、学芸員の資格を得ることができます。
試験内容は、必修科目8科目と選択科目2科目(下にリストがあります)の筆記試験です。合格率は、年によってかなり違い、高い時では80%ほどのこともありますが、何もしなくても八割がた受かるということではありません。受験勉強はしっかりとするべきです。

学芸員資格認定試験 受験資格

以下のいずれかの資格が必要です。

  • 大学院に入学することができる者
  • 大学に2年以上在学し、博物館に関する科目の単位を62単位を修得した者で二年以上博物館資料関係実務を行つた経験を有する者
  • 大学に入学することのできる者であつて、四年以上博物館資料関係実務を行つた経験を有する者
  • 教育職員の普通免許状を有し、2年以上教育職員の職にあった者
  • 上記各項に挙げた者と同等以上の資格を有すると文部科学大臣が認めた者

学芸員資格認定試験 出願期間

二年に一度、試験が実施される年の、7~9月くらいの一か月程度が出願期間となります。年によって異なるので、正確な日程は、文化庁の公式サイトで確認しましょう。

受験料

願書に、必要な額の収入印紙を貼り付ける。1科目の受験につき、1,300円分の収入印紙が必要。

試験会場

東京で行われ、地方会場はありません。年により異なるので、文化庁の公式サイトで確認しましょう。

試験科目

必須科目は、下の8科目です。

  • 生涯学習概論
  • 博物館概論
  • 博物館経営論
  • 博物館資料論
  • 博物館資料保存論
  • 博物館展示論
  • 博物館教育論
  • 博物館情報・メディア論

上記8科目については、こちらで過去問が見られます

選択科目は、下から2科目を受験します。

  • 文化史
  • 美術史
  • 考古学
  • 民俗学
  • 自然科学史
  • 物理
  • 化学
  • 地学
  • 生物学

受験科目ごとに合格・不合格が判定され、トータルで学芸員試験に不合格だったとしても、合格点を取った科目については「合格済み」と記録されます(下の「試験の科目免除」参照)。

◆試験の科目免除

下記の場合には、試験科目が免除されます。

  • 一度受験して、合格している科目は、受験を免除される
  • 大学または文部科学大臣が定める学修において、試験科目に相当する科目の単位を修得済みの場合、または試験科目に相当する学修を修了した場合は、その科目の試験が免除される

合否の連絡

合否は、書面で送られます。およそ2月下旬頃になります。

合格証書を得るための手続き

前述したように、筆記試験に合格しただけでは、試験認定合格者にはなれません。合格後1年間博物館資料関係実務に就き、その事実を文部科学大臣に認定されて、初めて試験認定合格者となれます。
規定の事実が発生したら、試験認定合格申請書と筆記試験合格証書のコピーを文科省に提出して認定手続きを行い、合格証書の送付を受ける必要があります。

学芸員になる方法3:学芸員資格の審査認定に合格する

学芸員になる4つの方法の中で、審査認定を突破するのは、もっとも難しい方法と言われます。
認定を受けるには、定められた資格を満たす必要があります。

学芸員資格の審査認定を受ける資格

  • 学位規定による修士もしくは博士の学位または専門職学位を有し、2年以上博物館資料関係実務の職にあった者
  • 大学において博物館に関する科目に関し2年以上教授・准教授・助教または講師の職にあり、2年以上博物館資料関係実務の職にあった者
  • 次のいずれかに該当し、都道府県の教育委員会の推薦する者
    1. 大学院に入学することができる者であつて、四年以上博物館資料関係実務の職にあった者
    2. 大学に2年以上在学し、62単位以上を修得し、6年以上博物館資料関係実務の職にあった者
    3. 大学に入学することのできる者で、8年以上博物館資料関係実務の職にあった者
  • その他文部科学大臣が上に掲げた者と同等以上の資格を有すると認めた者

学芸員資格審査認定 出願期間

二年に一度、試験が実施される年の、7~9月くらいの一か月程度が出願期間となります。年によって異なるので、正確な日程は、文化庁の公式サイトで確認しましょう。

受験料

願書に、3,800円分の収入印紙を貼り付ける。

面接

※面接は、全員に対して行われるとは限りません

およそ1月の中旬以降に行われます。面冊会場は東京のみで、地方会場はありません。年により異なるので、文化庁の公式サイトで確認しましょう。

合否の連絡

およそ11月頃に審査結果が郵送されます。
面接が必要と判断された受験者には、面接の実施方法が通知されます。面接した結果の通知は、後日郵送されます。

学芸員の仕事の実態

学芸員は、ジャンルが幅広く、一概に「こういう仕事」と言えないことも多いのですが、大雑把に言うと、資料の収集、整理、保存に関する業務のウェイトが大きく、実際には「研究職」の面が大きいです。世間的に、もっとも知られているのが「美術館の学芸員さん」のため、素人相手の解説や、展示の企画・広報の仕事が主のように錯覚しがちですが、本質はもくもくと資料と向き合い、研究対象の価値を守るために尽くす仕事です。

学芸員の採用・就職(情報収集編)

博物館や、それに相当する施設などには、学芸員の設置が必須となっていますので、学芸員の就職先は、無くなることはありません。ただ、「学芸員求む」という求人は、かなり数が限られます。よほど積極的に動かないと、ライバルたちに少ない席が取られてしまいます。どうしても「学芸員です」と名乗れる職につくには、情報収集と、人脈作り、機を逃さない行動力が必要です。また、ルール上、学芸員資格は「学士」で取れるのですが、実際に採用されるためには、修士号を持っている人の方が圧倒的に有利であることを知っておくべきです。

情報収集先としては、リアルな学芸員の現場か、そこにつながる場所を積極的に利用しましょう。例えば、以下のような方法です。

  • 現在学芸員である人に情報を聞く
  • 博物館など、自分が就職を希望している場所の人から情報を聞く
  • 自治体に問い合わせて、公立の博物館・美術館などの募集状況を聞く
  • 自分が学芸員を実習した場所で情報を聞く
  • 自分が就職したい場所に直接情報を聞く
  • ハローワークで求人を探す
  • 友人・知人から情報を得る

最近では、下のように、ネットを活用する方法が主流かもしれません。

  • ネットで「学芸員 採用」「学芸員 募集」「学芸員 求人」などで検索する
  • 就職したいと考えている美術館や博物館、または、就職したいと考えているジャンルの美術館や博物館の公式サイトをチェック
  • 学芸員の情報交換サイトを活用する 例:学芸員就職課
  • 自治体の公式サイトをチェック 例:東京都 学芸員募集
  • 求人サイトで探す

大学生ならば、下のような方法もあります。

  • 研究室や就職課で、相談や情報収集する
  • 教員や先輩に相談したり、情報を教えてもらう


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