花の教室・花の先生への不満解消法
花の習い事をしている人から、リアルに聞いたことのある不満と、その解消法です。
教室への不満と、先生への不満を両方載せました。
すべてが解決可能ではありませんが、ご参考に。
花材が悪い
明らかに良くない花材(傷んでいるという意味で)が来ているのであれば、文句を言う権利があります。教室の先生に、
「こんな悪い花が入っていました」
と申告しましょう。毎回のように花が悪いなら、毎回申告します。もしも、先生が無頓着な人だったとしても、いつも花が悪いと言う生徒さんがいれば、花屋に一言いう気持ちになるはずです。
注意してほしいのは、「本当によくない花材なのか」という点です。自分の知識不足で、「良くない」と思い込んでいるだけではないことを確認してください。
花の知識・経験が乏しい人が、まっとうな花材にお門違いなクレームを入れてくることは、実はよくあります。
「ガーベラがみんな開いてしまっている」→全部開いて入荷するものです
「ストレチアの花がつぼみで、咲いてこなかった」→ストレチアの花弁は、中に入っていたら引っ張り出すもの
「ケイトウが虫のふんだらけ」→ケイトウの種です
↑上記のようなクレームは、珍しくありません。おかしなクレーマーにならないようにしてください。
もしも、良くない花が入荷されているのに、先生がそれを問題視せず、それが原因で教室に行きたくなくなるのであれば、教室を移ることも考えましょう。
花材が面白くない
悪い花ではないが、レッスン花材として面白くない、ということがあります。
たとえば、
- いつも同じ枝もの(例:夏はドウダンばかり、冬は柳ばかり、など)
- 花の種類が少ない(例:一年中ガーベラとカーネーションとスプレー菊のローテーション、など)
- 初心者向け花材や、ありきたりな花材ばかり
レッスン花材は、限られた予算の中で、最低限の本数は確保しようとするので、バリエーション豊かなものを毎回入れることは、花屋さんとしても難しいことがあります。
そういうことを理解したうえでなお、
「これはつまらないレッスン花だ」
と思うようなものにしか触れられないと、レッスンが楽しくなくなります。
この不満を解消するには、下記のような方法をお勧めします。
先生に「もっと色々な花を生けてみたい」と言う
先生に、
「もっといろいろなお花を活けてみたいです」
と希望を言ってみましょう。あるいは、
「最近、この枝ばっかりですよね」
という言い方でもいいです。
生徒さんの中に、もっと多様な花材を望んでいる人がいるんだ、ということをわかってもらいましょう。その声を聴いたら、教室の先生から花屋さんに、花材についての希望が伝えられる可能性はかなり高いです。
初心者用の花材から卒業したい、とほのめかす
初心者から中級者になり、もっとグレードの高い花材にも触れたい、と思い始めた場合の方法です。
タイトルには「ほのめかす」と書きましたが、はっきり言える人ははっきり言っても良いです。
中級者になると、初心者と同じ花材では飽き足らなくなってくる、ということは自然なことです。このことは、自身がその道を歩いてきた先生もよくわかっているはずです。
腕に見合った花材が欲しい、ということを伝えましょう。
ただし、花材のグレードアップは、値段のアップにもつながる可能性があります。値上げしなければならないときには、必ず先生からその旨説明されるものです。
その場合も、数百円の範囲の値上げになるかと思いますが、どうしても値上げに納得できなければ、先生とよく話し合いましょう。
(稽古場で、自分一人が中級者で、ほかは大勢の初心者、という場合、「自分だけのために中級の花材を欲しがったら申し訳ない」と考える必要はありません。花屋は、「初心者用複数+中級者用1」で納品するだけなので、誰にも迷惑にはなりません)
レッスンよりもおしゃべりが盛ん
真面目にレッスンしたいのに、他の生徒さんたちに全く熱心さが無く、レッスンよりもおしゃべりばかりで集中できない……という不満です。
花の教室には、技術を磨くことよりも、そこで出会う人との交流の方が大事な人もいます(かなりたくさんいると考えてください)。また、よほど専門性の高い教室でなければ、生徒さんの間のレッスンと関係ないおしゃべりを、先生が注意することはあまりありません。教室で楽しく、仲良くしてほしいという考えの先生の方が多いからです。
ただし、大声で話したり、集中してレッスンしている人に横から話しかけたりするような迷惑行為は注意されるはずです(←これも注意しないなら、クレームを言っても良いです)。
この不満の対処法は、下記のいずれかです。
- 先生に、「不熱心でしゃべってばかりの人たち」が迷惑だと相談する……これを訴えられたら、おしゃべりが始まったら「ハイ静かにしましょう!」くらいの一言は言ってくれるようになるでしょう
- 不熱心でしゃべってばかりの人たちに、「ちょっと迷惑なんだよな」という雰囲気を出す……喧嘩にならないように上手にやりましょう
- 周囲で何が起ころうが、全く関係なくなるほどレッスンに没入する
レベルの高い人ばかりでついて行けない
気軽に習おうと思って入った花の教室に、入って見たらセミプロ級の人ばかりだった……というような場合の不満です。
自分と同程度のレベルの人がいないどころか、自分とは意識やお金のかけ方も全然違う「本格派」の人たちばかりで、委縮してしまい、その悩みを共有する仲間もいない、となると、場違いなところに来たと後悔することにもなるかもしれません。
こういう時に、一番に初心者に寄り添って楽しくレッスンするために心遣いするべき人は、教室の先生その人です。良い先生なら、きっとこの不満を取り除いてくれるでしょう。自分から先生に、
「素人がこんな高度な教室に来てしまって良かったんでしょうか」
と言ってみてもいいです。初心者を受け入れている教室なのであれば、その悩みを解消する手助けをする責任があります。(プロ級でない者は去れ、という考えの教室なら、初心者を受け入れなければ良いのです)
このようなところにこそ、教室の先生の個性は現れます。初心者を歓迎する教室には、初心者を拒まない空気があるものです。
もっとも、「初心者を拒む空気」がある教室などめったにあるものではありません。初心者側が、勝手に気を使い、「ここにいても良いのかしら」と思っているだけではないでしょうか。
自分と同じレベルの人がいないのはさびしいかもしれませんが、周りの生徒さんたちが全員高度なテクニックとセンスを持っているなら、良いお手本を好きなだけ見られる環境であり、それは非常にお得な状態です。それも、「自分一人だけ得をしている」状態なのです。
その状況を、得難いものとして楽しむ方が良いと思います。これに関しては、管理人自身がそのような稽古場の出身なので、「何も臆することは無い」とお伝えしたいです。
お付き合いが大変(花展や高額の講座や、高価な道具の購入など)
教室の皆さんに、花展への参加や、有名講師の高額な講座の受講や、一品買わないと帰れないような展示会に誘われるのが負担、という不満です。
お付き合い自体もしたくない場合と、お付き合いは嫌いじゃないけど出費がかさむのが困る、という場合があります。
これは、はっきり言えば良いのではないでしょうか。たとえ、教室の中で「不参加」が自分一人だったとしても、行きたくないものは行きたくない、あるいは行きたいけど行けない、と言って良いでしょう。
それを「和を乱す人」と糾弾する時代は終わりました。少なくとも、東京ではもう終わっています。
どうしてもそれを言う勇気が無ければ、「家のこと」を理由に断るのが、一番波風が立ちません。ウソが必要なら上手なウソを言っても許されると思います。
生徒によって先生の態度が違う
これは、先生に対する不満です。
人によって明らかに態度が違うというのは、「私には扱いが悪い」という不満であることが多いかと思います。
しかし、一度「本当に自分の扱いは悪いのだろうか」と考えてみてください。そして、もしこのような話ができる仲間が教室にいるなら、その人に自分の不満を口に出してみてください。
意外に、ただの思い過ごしかもしれません。
また実際に、たとえば大切なコンクールを目前にした生徒さんなどには、ほかの人より熱い指導になったり、子供のころから通っているような生徒さん相手にはちょっと気安さがにじむなど、先生にわずかな態度の差はあってもおかしくありません。
「そのくらいは人情」の範疇での態度の違いは、容認しても良いのではないでしょうか。
完全に良くないと言えるのは、自分の気に入った生徒にだけよく教え、有益情報も多く届け、「特別」とわかる扱いをするとか、あるいは教室にお金を多く落とす生徒さんだけ重用し、あまりお金を使わない生徒さんを冷遇するなど、人間性が疑わしいような扱いの違いが見える先生です。
このような先生には、「この人の教室で学ぶ価値があるのか」と考える必要があるでしょう。
先生とセンスが合わない
先生を嫌いではない、指導技術も信頼している、けど、自分とは決定的にセンスが合わない、ということはあり得ます。
どちらかに落ち度があるわけではなくても、「合わない(性格的なものではなく)」ことはあるのです。
基礎を習っているうちは、これはそんなに問題にはなりません。生徒の側が、作品創りの深い部分に何歩か踏み入ったころに不満となって現れます。
これに関しては、「もうこの先生のもとでは無理だ」と思ったら教室を移るしかないと思います。
もし、「センスは合わないが、先生も教室も好きなので他所へ行くのはイヤだ」と思うなら、頭の中で賢く割り切りながらその教室でレッスンを続け、たまにスクール本部の講座や有名講師の単発講座に出ることでほかの先生の指導にも触れるなどして、自分を高めていくのが良いでしょう。
先生が怖くて質問もできない
先生が怖い人で、したい質問もできない、という不満です。
これは、基本的には先生の側に問題があると私は考えますが、生徒側が勝手に委縮している可能性も無いとは言えません。
一度、思い切って質問してみてはどうでしょうか。(今時、怖い花の先生はほぼいません。花の先生も客商売なので、それが当然です)
それでもどうしても質問できなかったり、質問してみたけどまともに相手をしてもらえなかったとしたら、教室のほかの人はどうしているのか見てみましょう。
ほかの人も、質問すらできずにいますか? それとも、自分一人が質問を許されないのでしょうか?
また、このことを相談できる人が教室にいたら話してみましょう。その人が「思い過ごしだ」と言ったなら、一度はそれを信じましょう。
上記のことを観察したり、考えたりしてみた結果、「こんな怖い先生にはつけない」と思ったら、他の教室に移ることを考えても良いと思います。
もし、考えて、「怖い先生だが、指導と教室にそれを帳消しにする魅力がある」と思ったら、その教室にとどまったらどうでしょう。
先生がこちらの話を聞いてくれない
「先生がこちらの話を聞いてくれない」と不満を持ったら、「何を聞いてくれないのか」を見極めてください。
世の中には、「この人全然人の話聞いてないな」という人が結構いるものです。先生が、元来そのような性格の人である場合もあり得ます(指導中にそれを出してはいけないのですが)。
もし、全般的に「聞いてない」「聞いているのかもしれないが反応が薄い」のであれば、元来の性格である可能性が高いです。
そういう人には、意図的なものも悪気も無いので、面倒ですが重ねて言えば聞いて、応えてくれるでしょう。その面倒が大きな負担であれば、「この先生には合わなかった」と思って、他の教室に移る方が良いかもしれません。
一方、特定の何かだけを聞いてくれないのであれば、それは意図的に排除されているのです。この場合、「誰のために何を排除したか」が問題になります。
「排除」が生徒さんや教室のために行われたことなら良いですが、先生自身の手間を惜しんだり、勉強不足を隠すために行われていると思ったら、しかも、その不満が募るほどたびたびおこなわれるのであれば、その先生について行って良いものか、考え直してみても良いでしょう。
作ったものを、ほぼ別物に直される
頑張って作った花の作品を、先生に見てもらったら、ほぼ別物に作り替えられてしまった……という不満です。
長くレッスンしていると、このようなことは無いではありません。しかし、毎回そうなることはあまり無いものです。一般的に、花の指導者というものは、「生徒作品に最小限の手を入れるだけで、格段に作品のグレードを上げ、何が欠点だったか生徒に気付かせる」ことができる人が達人とされるからです。
なぜ別物にされるのか考えたときに、有り得るのは
【1】作品が救いようがないほどヘタだった
【2】生徒の創造性を無視し、先生が勝手に別物にした
【3】先生と生徒で、作品をもとに新たな可能性を探したら別物になってしまった
↑上記のようなことかと思いますが、まず、【3】は全く問題ありません。これは、出来上がった生徒作品をもとに、先生と生徒で「こうもできる、ああもできる」とやっているうちに変わってしまった結果なので、それはそれで研究の一つのあり方です。「先生と生徒が合意で」と言うところがポイントです。
【1】も、生徒側の納得を取り付けているのならば問題ありません。
問題なのは【2】です。「無視」「勝手に」というところが大いに問題です。「この作品は、このままでは難しい。かなり変わってしまうけど手を入れます」と、生徒側に伝わっているなら良いのです。
問答無用で全取り換えは、それを許す関係性(母娘でレッスンしているようなときには、なんら問題ない場合もあります)が無いと、最悪レッスンとして成立しなくなります。
もし、毎回のように全部直されてしまう、それに対するケアも無い、そのせいで教室に行くのが楽しくない……と思うのであれば、自分がそれを不満に思っていることを思い切って伝えるか(伝えても改善しない場合もあるでしょうが)、別の、全部取り替えない先生の教室に行くことを考えるか、どちらかにするのが幸せかと思います。
先生の持っている情報が古い
花の習い事の世界は、新しいスタイルや新しい素材、ツールが生まれたり、人気の花材の入れ替わりなどが意外に頻繁に行われます。古典的と思われているいけばな界でさえ、そうなのです。
なので、勉強を怠ると、すぐに情報が古くなります。
しかし、世の中のすべての花の先生が、新しい情報について行っているとは限りません。指導力に優れた良い先生でも、新情報から1~2歩遅れている、ということはあります。そうなると、花雑誌などを読むのが好きな生徒さんの持っている情報が、先生の情報を追い越してしまうことがあります。
うちの先生はどうしてこれを知らないのか、なぜ最新のスタイルをすぐに教室でやらないのか……などの不満を持ったら、先生の前で積極的に新しい情報の話をしてみたらどうでしょう。
新しいスタイルを教室で作りたければ、「こういうスタイルをやりたい」とリクエストしてみたらどうでしょう。
生徒さんの中に意欲のある人がいるとわかれば、「特に最新にこだわらない」と思ってる先生も新しい情報を求め始めるはずです。
もし、怠惰で新情報を入れない先生だとわかったら、それでは自分は飽き足らないんだと思ったら、先生のもとを飛び立っても良いのではないでしょうか。