花の趣味の会(サークル・同好会)を立ち上げるには
花の趣味の会を立ち上げる方法を、色々な状況別に解説します。この記事で書いているのは、花の先生が開くのではなく、花を習う側から、つまり生徒の側から会を立ち上げるときの方法です。
どんな状況からサークル・同好会を立ち上げるのか
サークル・同好会のスタートの切り方としては、下記のようなものが考えられます。
- 自分一人で立ち上げようとしている
- 数人で立ち上げようとしている
- 数人で立ち上げようとしていて、その数人の中にすでに講師の先生が含まれている
数人で「花のサークル作ろうよ」と盛り上がるケースが一番多いかと思いますが、自分一人で立ち上げることももちろんできます。
立ち上げ段階のメンバーに「講師の先生が含まれる」ことはよくあるというか、むしろその方が多いくらいです。仲間内の誰かが花の指導資格を持っていて、
「じゃあ、みんなで教えてもらおうよ」
という話になる、というパターンです。(講師を必要としないサークル・同好会も有ります)
下の項から、具体的な立ち上げの手順について書いていきます。
立ち上げの手順1 ジャンルを決める
花のジャンルにもいろいろあります。会の活動テーマは、いけばななのか、ガーデニングなのか、フラワーアレンジメントなのか……というところを決めます。
(もともと決まっている、という場合は飛ばしてください)
自分一人で立ち上げようとしているなら……
自分の一存で決めるか、ある程度人を集めてから決めることになります。花のジャンルで、というところだけは決まっているのであれば、「花のサークル」ということでメンバーを集め、具体的なテーマは後から決めます。
(ただし、最初からテーマが明確な方が、よりメンバーを集めやすいものです)
数人で立ち上げようとしているなら……
数人の初期メンバーで、会の活動テーマを決めます。上にも書きましたが、「花のサークル」のような大きいカテゴリのテーマよりも、もっと絞り込んだ具体的なジャンルが決まっている方が人を集めやすいです。
立ち上げの手順2 活動内容を決める
花のサークルであらかじめ決めておくべき内容としては、以下のようなものがありますが、立ち上げメンバー(主催者のみの場合もアリ)だけで決める方法も、募集メンバーを集めてから話し合って決める方法もあります。
- 指導する専門家が必要かどうか
- (↑専門家を依頼することにした場合)レッスン料を決める
- 活動場所
- 募集年代
- 素材の調達方法
- 道具の確保
- ゴミ処理について(主にいけばな、フラワーアレンジメントの場合)
- レベル
- 参加費
- 活動日程
- sns
- 禁止事項(未知の人が集まるサークルと、大所帯サークルにはあった方が良いです)
- 役職
- リモート参加の可能性について
上記の内容を、以下で詳述します。
指導する専門家が必要かどうか
花のサークルは、専門の指導者が必ず必要とも限りません。本やネットのハウツー情報をもとにリースやハーバリウムを作ったり、各々の知識や経験を持ち寄ってガーデニングや花飾りをすることも可能なのです。
ただし、ライセンス(免状・資格)取得を目指せるサークルにするのであれば、専門の講師がいないと不可能なこともあります。また、専門家がいないと着手するのにハードルが高いジャンルもあります。
自分たちのサークルは専門家を呼ぶべきなのかどうか、見極めてください。
専門家を呼ぶと決めたら、誰に、いくらで来てもらえるのか決めます。「決める」というより、「探して、交渉する」ことになります。
会が出せるレッスン料はいくらなのかはじき出し、その金額で来てくれる人を探すのです。このときに、一般的なレッスン料を必ず参考にしてください(現実とかけ離れた金額を提示したら、まっとうな先生なら不信感を持ちます)。
もし、「お金は出せない」のであれば、ボランティアで来てくれる人を探さなければなりません。このときには、ボランティアで来てくれることを「普通なこと」とは思わないでください。たとえ先生の側から「お金は要りません」と言われたとしても、です。
プロの指導者に、無料で教えてもらうのは、お店でモノだけ受け取ってお金を払わないのと同じだと思ってください。相手の大きな好意で成り立っていることだと理解して来てもらうのです。
活動場所
※人を集めて参加人数が予想できるようになってから会場を決める方が合理的だと思ったら、そうして良いと思います。しかし、花のサークルは、会場が借りにくいことが多々あるため、会場選定を事前に書きました。少なくとも、どんな会場が借りられるかのリサーチは、事前にしておいた方が良いです
会の内容により、探すべき会場の条件は異なります。
いけばなやフラワーアレンジメントなら、水を使うことを許可してくれる会場でないといけません。また、バケツや水差し、剣山・オアシス、花器などを置かせてくれるスペースがある程度無いと、後々大変になります。また、参加人数分の席が作れる広さや、机の数が必要です。
これが、プリザーブドフラワーや押し花アートになると、一人一人が使うスペースも比較的少なく、道具もあまり大きいものや収納しにくい形のものは少なくなります。
ガーデニング系であれば、屋内で土を扱うことを許可してもらえるか、または庭を提供してくれる会場が必要になります。
自分たちが必要とする会場はどういう場所なのか、しっかり考えましょう。
募集年代
花のサークルは、あまり年代が片寄りません。が、若い人だけでやりたい、などの希望があれば、どのくらいの範囲の年代を受け入れるのかを、あらかじめ決めましょう。
素材の調達方法
花材や素材の調達はどこでするのか、誰がするのか、を決めます。
いけばなやフラワーアレンジメントの花材は、特定の花屋さんを決めて、そこに発注する方が便利です。まずその花屋さんをどこにするのか決めます。レッスン花材は、どこの花屋さんでも喜んで引き受けてくれるとは限らないので、花材発注の何たるかがわかっている人が決めるのが良いです。(講師の先生のいる会なら、花屋との交渉に先生にもかかわってもらうと良いです)
花屋が決まったら、毎回の花材はいくらの設定にするのか、いつまでに注文を出すのか、届けてもらえるのか(その場合、どこに何時に届けられるのか)、こちらからとりに行くのか、などを決めます。
そして、会の参加人数を取りまとめるのは誰がするのか(会の主催者? 講師の先生? 専門の担当者を作る?)、どんな形で花代を集めるのか、当日お休みになってしまった人の花材はどうするのか、なども決めます。
プリザーブドフラワーやハーバリウムなら、ドライ花材なので、資材屋から素材を買えます。
素材の選定はどうするのか?(講師の先生がいるなら、講師の先生と相談するべき) どこで素材を買うのか?(安く入手できる方法が良い。講師の先生や参加メンバーの中に、素材を安く買えるサービスを使える人がいたら利用するのが良い)などを決めます。
講師の先生がいる場合には、その先生が、所属スクールから格安で素材を買えることもあります。
また、メンバーの中に、独自の調達ルートを持っている人(例えば、親類がドライフラワーの輸入会社をやっていて、格安で分けてもらえる、など)がいたら、それを利用しても良いでしょう。
ガーデニング系なら、例えば苗は会で買うのか、各人が持ち寄るのか、会で買うならどこから買うのか、などを決めましょう。
道具の確保
使用する道具は、どこまで会で用意するのか、それをどこで保管するのか(会場に置かせてもらえるのか? 主催者や幹事が預かるのか?)を決めます。
会で用意するのであれば、購入する費用は会費から出すのか、別途集金するのか決めます。
保管場所は、会場に置かせてもらえるのが一番良いです。保管場所としてどのくらいのスペースがもらえるのか、何でも置いて良いのかなどは、会場との交渉になります。
やむを得ず、誰かが預かることになるのであれば、だれが預かるのか決めます。
道具が小さければそれほど問題は無いのですが、花の道具は花器やバケツ、水差し、剣山など、大きかったり、重かったり、収納が難しいものがあるので、そういうものを誰かが預かると、結構な負担になることがあります(会場への輸送もしてもらうのですから)。そのようなときには、本人が「大丈夫ですよ」と言ってくれたとしても、会としてお礼をしたり、会費の一部を免除することなどを考えましょう。
ゴミ処理について
上にも書きましたが、主としていけばな・フラワーアレンジメントの会の場合、考えておくべきことです。
いけばなやフラワーアレンジメントは、植物ゴミがかなり出ます。この量によっては、会場のゴミ捨て場に捨てることを拒否されることがあります。
もしも拒否された場合に、誰かが持って帰るのか、各自持って帰るのかなどを決めましょう。各自持って帰ることになった場合には、帰り道の途中で人の迷惑になるような捨て方をしないことを全員に徹底させましょう。(管理人が講師で呼ばれていたサークルでは、一部のメンバーが会場近くのコンビニに長い枝を捨てていることが発覚し、家に持ち帰ることを約束させたことがありました)
レベル
スポーツと違い、花のジャンルは、各自のレベルがかなり違っても一緒にやれることが多いです。しかし、たとえば「コンクールで上位を狙えるような集まりにしよう」というようなハイレベルの会を目指すなら、それをメンバー募集時に明らかにしておきましょう。
どんなレベルのメンバーも歓迎するのであれば、「初心者歓迎」と、はっきりと謳っておきましょう。未経験の人が入会するときの不安を少なくすることができます。
専門の講師に指導を頼み、ライセンス取得も可能な会なら、講師の持っている資格を明らかにしておきます。これは、すでに何らかのライセンスを持っている人が、自分より格下の講師に指導されることを避けられるようにするために必要な情報です。(例:講師が「いけばな〇〇流2級」を持っている人だとして、入会してきたメンバーが「いけばな〇〇流1級」を持っていると、指導を受ける人の方が格上になってしまいます)
参加費
参加費の金額は、会の支出をメンバーの人数で割って決めるのが基本です。
支出は、主に
- 会場・設備の使用料
- 素材・教材・道具代
- (講師を頼むなら)講師に支払う報酬
- 飲食代
- その他(細かな雑費)
↑このようなものです。
これらの総計を人数で割ってピッタリにする方法と、少し余剰金が出るようにして残高を増やしていく方法があります。後者は、未来のための積み立ての意味を含みます。例えば、少しずつ残高を増やして、いつかそれを使って展示会を開く、というような使い方をします。しかし、お金のことはなかなか面倒が付きまとうので、管理する自信が無ければ、一番分かりやすくて安心な「使った分だけ、全員で割る」方法をお勧めします。
集めた会費は、何に、どのように使ったか、メンバーに求められたらいつでも明らかにできるようにしておきます。
集金の方法は、一回ずつ集めるか、月会費にするのか、最初は集金をする人の負担が少ない方を選ぶと良いです。参加する側の感情で言うと、毎回集金する方が、「参加した分だけ払えば良い」ので、気が楽ですし、シンプルで分かりやすいです。
活動日程
どんなサイクルで集まるのか、どんな時間帯にするのかを決めます。(会場を押さえる都合にかなり左右されます)(講師を呼ぶ場合、講師の都合にも左右されます)
sns
snsでの情報発信は、必ずした方が良いです(なるべくクローズドが良い、というような方針があれば別ですが)。今ならTwitterかInstagramが良いでしょう。もしこの二つが廃れてしまうようなことがあれば、軽快に新しいメディアに乗り換えてください。
禁止事項
禁止事項とは、例えば以下のようなものです。
- セールス等の営業行為
- 宗教・政治団体などへの勧誘
- 他のメンバーへの迷惑行為
上の三項目は、かなり「最低限」の決まり事です。これを守れない人には、会として退会を申し渡して良いでしょう。
禁止事項は、会の規約を作って明記すると、問題のある人が入り込んでくる可能性が低くなります。
役職
これは、メンバーの数が増えてからでも良いです。目安は、「メンバーが10人を超えたくらい」と思ってください。
役職には、下のようなものがありますが、どの役職を作るのかは、会の規模にふさわしいように決めてください。
- ★代表者
- ★副代表
- ★会計
- 記録
- 広報
- 企画
↑★のついている役職が、必要度の高いものです。また、上の役職をいくつか兼任する人がいても良いです。
メンバーが少なければ、上のすべてを代表者1人が受け持つこともあるでしょう。しかし、役職名は無くても、主催者と一緒に運営を支えてくれるメンバーは、最初からいてくれると心強いです。初期メンバーが、強力な運営サポート役になってくれる会は発展しますので、初期メンバーのやる気を盛り上げることは重要です。
リモート参加の可能性について
これから作るなら(この記事は、2022年コロナ禍の最中にアップしました)、あらかじめリモート開催・リモート参加についても考えておいて良いですが、その必要があると会が判断してからでも良いです。
花の集まりの活動は、リアルで開催する方が良いことは確かですが、リモートでもできるものがかなりあります。現在では、いけばな、フラワーアレンジメントの教室でさえ、リモート開催しているところは珍しくないのです。「花の技術系は、リモートはできない」と決めつけずに、可能性を探ってみてください。
開催は基本的にリアルで行い、希望者のみリモート参加、という方法もあります。
立ち上げの手順3 メンバーを集める
メンバーを、何らかのつながりがある関係の中にとどめたいのであれば、リアルで声をかけることになります。
何らかのつながりがある関係とは、主催者とメンバーの縁者・知人友人の中に限って人を集める、ということです。メンバーが多くなれば、互いの関係はだいぶ薄くなり、メンバー同士で「あの人はどこの誰だろう?」ということになっていくとしても、全くの未知の人が入って来ない環境は、おかしな人が入り込んでくる可能性がかなり少なくなります。
会を大きくすることが目的ではなく、小さく楽しくやっていく方が重要であれば、この方法は安心感が大きいです。
未知のメンバーを広く取り込んでいきたいのであれば、今ならwebの力を使うべきです。サークル募集掲示板サイトや、snsを使いましょう。
webでなく、リアルな掲示板も、身近にあれば利用しましょう。また、メンバー募集の告知ができるタウン誌などあれば、これも利用しましょう(高い掲載料を投入する必要は無いです)。
メンバーの数は、最初は10人くらいがやりやすいです(大きなサークルの運営に携わった経験があれば別)。多くても、20人くらいが、管理がやりやすいです。それ以上の人数になったら、「自分は大所帯を管理・運営していくんだ」という意識をハッキリと持ちましょう。
立ち上げの手順4 実際に活動を始める
まずは、とにかく第一回めを開催します。参加者だけでなく主催者側も相当ドキドキすると思いますが、頑張ってください。
事前に場所を確保し、当日の活動をし、今後の予定の話などして散会になることと思います。
一回目は、フレンドリーな人ばかりが集まったとしても、多少のギクシャク感はあって当然です。盛り上がらなくても落ち込むことはありません。次から、もっと盛り上げる方向に動いて行けば良いのです。
実際に活動してみると、準備不足な部分や、想定通りにならなかった部分が出てくるかと思いますので、それらを改善する方法を考えます。
そして、一回目の活動を、できるだけ速やかにsnsにアップしましょう。一回目の記憶が新しいうちに(その日のうちがベスト)アップするべきです。
第一回目の参加者は、主催者を含めて最低でも3人は欲しいです。2人、つまり「主催者自身と、参加メンバー1人」でも、主催者本人が「大丈夫」と思えばやって良いと思いますが、3人いると、最低限の格好がつきます。
ちなみに、講師を呼ぶタイプの会は、講師が良いと言いさえすれば、参加者は1人でも可能です。少人数だと講師を呼ぶのに申し訳ない、と思う必要はありません。
もともとボランティア講師の場合、人数が何人であれ報酬の問題はありませんので、何も恐縮することは無いです。指導人数が減って、やりやすいと思う講師の方が多いくらいかもしれません。
報酬が発生する場合、人数×レッスン料にしていると、あまりにも人数が少ないと、講師としてはほぼタダ働きになることもあるでしょう。ですが、これも、会の側から「申し訳なくて頼めない」と思う必要はありません。タダ働きは困ると思っている講師は、はっきりと「その人数ではできない」と言いますので、言われてからあきらめれば良いのです。
(講師に甘える構造をつくらない方が良いのですが……タダ働きになると分かっている日でも関係なく来てくれる講師は結構います。一回ごとの報酬にはこだわらず、長期的に見てタダ働きでなければ良いと考えている場合や、お金になるかどうかよりも「社会人サークルでの指導実績」を得ることを重視している講師などです。もちろん、会を応援するつもりで自腹覚悟の講師もそうです)
メンバーの管理
会として、メンバーを把握するために、最低限、本名と連絡先を申告してもらいましょう。
本人確認は厳密にする必要はありません。メンバー本人が申告するものを信じていいです。(あまり無いと思いますが、後々偽名だとわかったら、会として対応を検討しましょう)
会の連絡用に、LINEグループを作るのはお勧めです。
新入会者は徹底的にフォローする
これは基本です。これができないなら、会は発展しないと考えてください。
新人さんが困っていたら助ける
キョロキョロしていたら「どうしました?」と声をかける
困っていなくてもキョロキョロしていなくても、来たばかりの人には自分から声をかける
古参会員でないとわからないノリを押し付けない
身内ネタだけで盛り上がらない
基本的に、新人さんは不安でいるものと考える
↑これらは、全部基本です。
会は、ゆっくりと軌道に乗るもの
1人、あるいは数人の人で立ち上げたサークル・同好会は、ゆっくり軌道に乗っていきます。意気込んで作った側は、すぐに人が大勢集まり、盛り上がり、力強い結束のある会が出来上がることを夢想しますが、実際にはノロノロ、バタバタ、ウロウロと進んでいき、会が独自の個性を持って安定してくるのは、発足後半年以上たってからではないでしょうか。
会を運営していけば、平和な会でも多少の面倒ごとは起こると思ってください。誠実に会のために尽くしても、不満を言われることもあると思ってください。「どこでもそんなものだ」と思い、「でも、楽しいよね!」と思える場所を作ってください。打ち込むことができる場所になったら、それは生きがいにもなり得る力を持つようになります。