花留学するには
あらかじめお断りしておきますが、管理人自身には、花留学の経験はありません。花関連の勉強で留学体験のある知人なら、ほんの数人ですが身近にいるので、話を聞いたことならばあります。しかし、それらはすべて伝聞情報ですので、自らの体験を語ることはできません。
この記事では、そのような「聞いた話」と、巷にあるフラワースクールの花留学情報などをまとめてみました。(色々と情報が足りない部分もありますので、今後も情報を追記していく予定です)
※花留学で学べることは、主に「フラワーアレンジメント」「ブライダルフラワー」「プリザーブドフラワー」「フローリスト技術」「ガーデニング」などです。ハーブ関係は、「花の技術」よりも、「アロマ技術」寄りのものが主のようです。
何を目的に、どこの国に花留学するか
留学したいと思うときには、具体的に何をしたいのかが決まっている方がほとんどだと思います。
しかし、中には、
「とにかく海外に行きたい」
「留学すること自体が目的だ」
という方もいると思います。そういう方は、
「自分はどこの国で何を勉強するのか?」
というところから決めていかなければなりません。以下の考え方は、ほんの一例ですが、参考になさってください。
【1】本場へ花留学する
そのジャンルの本場へ行くというのは、一番王道な留学ではないかと思います。
花で「本場へ行く」なら、たとえば、
英国式フラワーアレンジメントを学びにイギリスに行くとか、
オランダスタイルのフラワーアレンジメントを学びにオランダに行く、
というような方法です。
自分がすでに習っているもの、または、まだ習っていないが興味があるものの、本場の国に行ってみるのはどうでしょうか。
【2】憧れのものがある国に行く
「憧れの人がいる国」や「憧れのスクールがある国」に行くのはどうでしょう。
管理人自身は、他国のフラワーアーティストで最も興味がある人がダニエル・オストなので、自分が好きなオストのいるベルギーは、留学先としては魅力を感じます。
何らかの、惹かれるものがあるところに行って勉強するのも良いと思います。
【3】現実的に、行き易い要因がある国に行く
留学という大きいイベントを現実的に考えたときに、自分にとって圧倒的に行き易い国があるなら、そこに行くのも一つの方法です。
たとえば、家族が住んでいる国に行くとか、
自分が言語に不自由しない国に行くとか、
奨学金がもらえる留学を希望できるなら、その要件を満たす国と学習内容を選ぶとか、
往復がリアルに楽な国、つまり日本からの距離が近い国に行くとか、
渡航手続きが自分にとって楽な国を選ぶとか、
何かしら、「ほかの国よりも自分の負担が少ない」要素を持っている国に留学することを考えてみるのはどうでしょうか。
自分で留学先フラワースクールを探して入学する
では、実際にどうやって花留学をするのかを考えてみますと、一番シンプルなのは、自分で留学先の国も、スクールも好きなところを決めて自分で手続きする、というものです。
管理人の知人の一人は、自分で海外のスクール(イギリスの学校でした)を選んで入学手続きをして、1年弱くらいだったと思いますが、イギリスで生活してディプロマを取って帰ってきました。
その方の場合は、
「フラワーアレンジメントの生まれたイギリスで、正統派のワイヤリングの技術を教えてくれるところで学びたい」
というコンセプトでスクールを探し、一からすべて自分で調べて手続きしていました。花留学のために、仕事もやめて、傍から見ていると、「なんか、すごい勢いで行ってしまった」という感じでした。
このように、「行きたい」と思ったときに、時間とお金があったなら、思いのままに、勢いで行ってしまうくらいの方が良い場合もあると思います。
ちなみに、花留学先として、よくあるのは、イギリス、ベルギー、フランス、オランダ、ドイツです。いずれも、フラワーアレンジメントが盛んな国です。
日本が本家本元であるいけばなの世界にも、留学する方はたまにいて、そういう方の行き先も、上記の5カ国であることが多いです。
いけばな人の場合は、いけばな以外の花の技術やセンスを勉強して、いけばなにもその経験を役立てようという主旨の留学になるのだと思います。
専門家に花留学のコーディネートを頼む
上の項で書いたような、「何もかも自分で決め、自分で動く」ことを、もう少し楽にやろうとするなら、花留学のコーディネートを行っている専門業者=留学会社に申し込むという方法もあります。
専門業者がしてくれるサービスには、下記のようなものがあります。
- 学校と留学コースの案内
- 入学手続き
- ビザ申請
- 保険の手続き
- 航空券の手配
- 現地サポート
- カウンセリング
下のリストのリンク先で、各社の特徴や、かかる費用などをチェックしてみてください。費用の相場や、必要な語学力の目安などを知るだけでも、無駄ではないように思います。
とりあえず海外へ行ってしまい、その後にスクールを探すこともできる
この方法は、ある程度以上に「なんとしても海外に行きたい」という思いがある方向きです。花の勉強よりも、海外に滞在することに重きを置きたいくらいの方でないとできないでしょう。
目当ての国に、何はともあれ行ってしまい、勉強することは行った先で考えれば良い、というやり方です。
学生になるならビザはどうするのか、と思う方がいると思いますが、海外のフラワースクールのディプロマは、2週間くらいでも取れます。どの国に行くのかによっても異なりますが、観光ビザで入国してディプロマ取得は可能なのです。
厳密に言うと「花留学」とは言いにくい方法ですが実際にディプロマを持って帰れるので、現地で道を探せる自信のある方は、この方法でも良いのでしょう。(フラワー留学のプログラムの中には、「観光ビザでOKを謳っているものもあります)
ワーキングホリデー制度を利用し、海外のフラワースクールに通う
上の項で書いたような勉強の仕方は、ワーキングホリデー制度を利用して行うこともできます。
渡航先が限られたり、年齢や滞在期間に制限がありますが、ワーキングホリデーで海外に行き、フラワースクールに通ったり、花屋バイトの経験をしたり、ということが可能です。2017年現在で、日本とワーキングホリデーの取極めを結んでいる国は26カ国。その中には、花留学の人気国である、オランダ・フランス・ドイツ・イギリスが含まれます。
また、見聞を広めることを主にしてワーキングホリデービザで渡航し、現地で何か学習するのは二の次と考えた場合でも、花に興味があるなら、花のスクールに行くことは面白い経験になると思います。
「目で見て何とかする、目で見て何とかできる」のが、花の技術です。絵や音楽もそうかもしれませんが、花にもあまり国境はありません。日本語の通じない環境での習い事としては、花は良い選択肢の一つになるのではないでしょうか。
参考:【留学情報館】
スクールの花留学制度を活用する
日本でフラワースクールに通い、そのスクールが募集している「留学コース」のようなものに応募する、という方法があります。お料理の学校で、「フランス本校に留学できます」というようなところがありますが、そのようなものが、フラワースクールにもあるのです。
フラワーアレンジメントは、元々西欧で生まれたものです。そのためか、留学制度のあるスクールは、そんなに珍しくありません。
期間は、ほんの数日のツアーレベルのものから、数ヶ月に及ぶものまで、色々あります。
スクールがバックについて段取りしてくれますので、自分で一から調べて願書を書くような花留学に比べると、手間数と安心感が大きく違います。同じスクールで、過去に留学制度を体験した方がいれば、詳しく話を聞くこともできます。
これから花を学びたいと思っている方で、「花留学したい」という希望が前提にある方は、留学制度のあるスクールを選ぶというのも、良い選択だと思います。
各スクールがどんな風に留学制度の告知を行っているのか、いくつか見てみたい方は下のリンク先をチェックしてみてください。
花留学前にチェックしておいたほうが良い項目
留学する前に、最低限調べたり、検討したりしたほうが良いと思われる項目を挙げてみます。
- 費用……お金はいくらかかるのか。学費・生活資金etc。現地で使うお金の管理方法も考えておきましょう。クレジットカードや海外プリペイドカードを使うことも検討すると良いです
- 保険……留学保険をどうするのか(例:留学・ワーホリ保険ならAIG損保 )
- 食事……自炊なのか、食事つきで生活できるところなのか、外食なのかetc
- 住居……自分で手配するのか、してもらえるのか?
- ネット環境……最低限、スマホは欲しい人がほとんどでしょう。海外WiFiのレンタルなども検討してみましょう
- 持って行く花道具……特に、花の道具は日本のものが品質的に優れていることが多いので、持って行った方が良さそうなものをピックアップしましょう
- サポートは?……スクールや、業者が間に入っている留学なら、出発前や現地でのサポートについて確認しておきましょう
留学経験者の口コミはチェックしておきたい
花留学経験者の、実体験に裏付けられた口コミは、やはりチェックしたいものです。下記のサイトなど参考になさってください。
◎留学感想:専門留学のアズウィック 留学体験
ヤフー知恵袋などの、QA系コンテンツも役に立ちます。
花留学の体験は、なるべく画像に残そう
実際に花留学したら、デジカメやスマホで、後々活用できる写真をできるだけ撮るのが良いです。
海外のスクールは、日本ではなかなかやる機会の無いスタイルのデコレーションを作ったり、フラワー雑誌でも見たことないようなワイヤリング技術を勉強させられることが多々あり、それらの画像を残しておくと、自分用の記録や、日本に帰ってきてからのプレゼン資料に役立ちます。
留学経験を、生かすも殺すも本人次第
現在、花の世界で、留学して海外の技術を学んでくることは、それほど特殊なことではありません。世界的に有名なスクールや、伝統あるスクールの名前を出しても、花屋やブライダルフラワー技術者の採用選考などで、それほど強力な武器にはなってくれないでしょう。
つまり、「海外で勉強してきた」ことは、それだけで仕事が取れるとか、プロの中でも一目置かれるということにはならないのです。「花留学した」という事実だけで、箔付けになるものではありません。
花の技術の世界では、
「留学までして勉強してきたその人は、どれだけ実際の役に立つのか、どれだけ魅力的な花を作れるのか」
ということを重視しますから、その人が優秀なら、
「さすが、留学して頑張っただけの人材だ」
となるし、その人が優秀でなかったら、
「留学しても、何もなっていない」
と言われるだけのことです。
花留学にかかった時間と費用を無駄にせず、後の花技術者人生につなげたいと思うなら、留学先では、真面目に技術習得にいそしみ、センスやビジネスの感も磨いて、優秀だと認められる人になって帰ってきましょう。
職業的なことはそれほど考えずに、経験と楽しみを求めての花留学であれば、なるべく日本では触れられないものに触れ、花とともに有意義な毎日を楽しまれることをお勧めします。それも、すてきな花留学です。