いけばな(華道)系資格……小原流 教授
小原流の許状(免状)にはどんな階級があるのか? どこで小原流の免状を取れるのか? 何年くらいで階級を昇格していけるのか?
小原流の特徴は?
などの情報を紹介します。
小原流 教授
小原流 教授は、いけばな三大流派の一つ、小原流の指導資格です。
小原流のお免状は、下のような段階で発行されます。お免状は、師範科までは「終了証」、准教授から上が「免許状」です。
(小原流では、指導資格免状のことを「許状」と言う習慣があります)
初等科 → 本科 → 師範科 → 准教授 → 四級家元教授 → 三級家元教授 → 二級家元脇教授 → 二級家元教授 → 一級家元脇教授→ 一級家元教授
※太字の資格が、教えることのできるものです
※師範科は、「師範」という文字が入っていますが、指導資格ではありません
最高位の一級家元教授になるには、スピード進級しても15年くらいはかかります。
准教授から指導可
小原流で指導できるのは准教授からです。准教授から上の資格は「教授者」です。(名称に「師範」がついている「師範科」では、まだ指導ができませんのでご注意ください)
雅号を名乗れるのも、准教授からです。
准教授から実際に教室を開けますが、指導者になる気持ちを持っている人が、いつまでも准教授にとどまっていることはあまりありません。
しかし、教える気持ちはなく、指導者の免状さえあれば良いという場合や、小さな子供に入門レベルの指導だけをするのであれば、准教授の許状があれば事足ります。
小原流准教授までの道のり
小原流の教室では、決まったカリキュラムを、一回一単位のペースで履修していきます。
そのため、何回通えば指導可の免状を取れるのかを、あらかじめ計算することが可能です。
小原流のカリキュラムでは、入門してから准教授をとるまでに、72単位を取る必要があります。ということは、月3回ペースで稽古すれば、
72÷3=24 …… 24か月=2年
つまり、2年で准教授になれます。
月2回ペースであれば、
72÷2=36 …… 36か月=3年
つまり、3年で准教授になれます。
准教授から一級家元教授への道のり
指導資格を得た後の、最上位の資格までの道のりについては、全国共通ではない部分があり、上の項のように明確な年数をはじき出せません。所属する支部により、進級に関する扱い(というか、考え方?)が微妙に違っているからです。教室でカリキュラムをこなすことに加え、支部活動に積極的かどうかが考慮されたり、支部で独自に進級試験を行うところもあるとのこと。
上記のことを踏まえ、下記を参考情報としてご覧ください。
- 准教授~四級家元教授……48単位
- 四級家元教授~三級家元教授……48単位
- 三級家元教授~二級家元脇教授……144単位
- 二級家元脇教授~二級家元教授……4年
- 二級家元教授~一級家元脇教授……5年
- 一級家元脇教授~一級家元教授……5年
小原流の稽古ができる場所
小原流の稽古ができる場所は、
- 個人の教室
- 小原流の本部教室(初心者専用の講座があります)
- カルチャーセンター
- 会社や学校の部活動
などがあります。
今、小原流は勢いがある!
(2020年現在)
現在の小原流の家元、小原宏貴氏は、まだ30代の若い家元で、意欲と活力に満ちています。年若くして家元になった人なので、30代と言えども長く家元をつとめてきていて、創作家として自分の特色を出していくには、今まさに充実した季節を迎えているところかと思います。
組織や指導の在り方、流の運営の方針などを、大きく改革する可能性もあります。
このようなときに、流は盛り上がるのだとすれば、まだこれから何年も(何十年かもしれない)、それは魅力となって現れてくるでしょう。
「習うなら、どこでもいいが勢いのあるところ」と思われる方には良い選択肢の一つになると思われます。
「盛花」を作ったのは小原流
小原流は、「盛花」を最初に作った流派です。つまり、盛花を生けるすべての流派は、小原流の恩恵を受けていることになります。
「盛花誕生」もそうですが、小原流は、いけばなに新たな道を切り開く先進性を持っていて、教授法の近代化、オブジェへの着目、シュールレアリズムの導入など、近代いけばなの興隆に大きく貢献しました。
小原流の名物「研究会」
(この項は雑談です)
管理人自身は草月流の門弟ですので、「他流の者から見た小原流の大きな特徴」を一つ書いておきます。
小原流には、「研究会」というものがあります。
これは、月1回くらいのペースで小原流の会員が集まり、決まった花材、決まったテーマで花を生けるお勉強の会です。……が、話を聞く限りでは、「勉強の会」というよりも「試験」であるようです。一作一作に点数をつけて、それが発表されるという、なかなかシビアな試験のようです。
(まだ入門されていない方のために言いますと、強制ではないということですので、参加したい人だけがするものと思ってご安心ください)
これを、全国の支部で、非常に力を入れて行っている様子が、他流の者の耳にも入ってきます。よほど熱心に行われているのでしょう。
そして、他流からすると面白いのが、小原流の人たちは、「どこの流でも、研究会はやっているはず」と思っていることが多い、ということです。研究会という名称でなくても、定期的に集まって全員同じ条件のテストをする会があるでしょ?と思っているフシがあります。
他流の人間に言わせれば、「あなたたちだけですよ」ということになるのですが、生粋の小原人は、あるのが当然と思って育ってきているので、特別なこととは感じないし、「どこでもあるはず」と思うのでしょう。
私は、小原流の研究会の制度を、良いとも悪いとも思いません(私からするとよそ様のことですから)。緊張感のある花生けの場があるのは面白いかもしれないな、と思う程度です。
ただ、「すごく小原っぽい」と感じる特徴なので、書いてみました。同じように思う他流の人が、結構たくさんいるはずです。